昨日知った驚愕の事実!
以下は2003年5月10日のたわごとからの転載である。
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「なくなっては困る」
画像はオープンリールと呼ばれるアナログ・テープとDATと呼ばれるデジタル・テープ。どちらも現役でレコーディングでは使われているものだけれどそれはあくまでプロ・レコーディングでの世界の話。一般的な電気店やオーディオ店ではまず見かける事はない。
とは言え現在のレコーディングはパソコンをベースとしたデジタル録音が主流で、アナログ録音はよっぽどこだわりを持ったエンジニアかミュージシャンしか使わなくなってきた。
我がYaging Studioではまだまだアナログ・オープンでのレコーディングがメインなのだ。しかしテープが中々手に入らないのですよ…。
普段は業務用のメディア等を扱ってる店から小売りして貰っているのだけれど、急に必要になったときにはどこにも売ってないのでとても困ることになる。かつては国内のメーカーでも生産していたのだが、現在アナログ・オープンのテープを生産しているメーカーはアメリカで1社とドイツで1社、どちらも一時は生産中止になりそうだったことがある。事業を縮小することでなんとか生産を続けているようだ。
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この時に書いたアメリカのメーカーというのはAMPEX社が事業を縮小して新たに始めたQUANTEGY社のことで、ドイツのメーカーはBASF社(AGFA)のこと。
昨日知り合った方が今でもオープンリール・デッキを愛用していると言うのでテープはどうしているのですかと尋ねるとアメリカのATRというブランドを教えて下さった。僕は初めて聞く名前。
帰宅してネットで検索してみると、なんと3M無き後、唯一のプロ御用達メーカーであったQUANTEGY社は磁気テープの生産を辞めてしまっていた。
僕自身も2006年の春頃からパソコン・ベースのレコーディングへと切り替えてしまったのでアナログ・テープの現状を知らなかったのです。
ATR社はAMPEXのレコーダーなどのメンテナンスしていた会社で、QUANTEGY社の機械を買い取って新たに磁気テープの工場を立ち上げたのだそうだ。
BASFもEMTEC社へと変遷を遂げたがすぐに経営難に陥り、現在はオランダ・フィリップス社のブランドRMGとして製造が続けられているらしい。
今やアナログ・テープなんて世界規模で見てもほとんど売れていないのでしょうからすごい事です。
それでもやはりアナログ・オープンの音というのは魅力的で、今年の初めに手に入れたAni DiFrancoが一人で8trのオープンリール・デッキを使って多重録音をしたというアルバム「Educated Guess」(2004年リリース)のサウンドがあまりにも素晴らしかったので、藤井貴子さんと次回のアルバムを作る時にはアナログ・オープンで録ろうよと話していたところだったのでした。
8trというのは好きなフォーマットで、僕が普段良く聴いているような70年代のロックのアルバムは8trで録音されたものが多い。
4や8trのレコーダーというのは、後の16や24というフォーマットよりも音が太いんですね。
AMPEXと3Mの未開封テープのストックが少しだけあるので、壊れたままになっている8trオープンを修理して是非とも録音してみたいものです。
近い将来、レコーディング・スタジオでリールが回っているのを見る事もなくなってしまうのかも知れない。
DATも使わなくなってしまったなぁ。